年越しそばはいつ食べるのが正解？由来・地域の違い・食べ忘れた場合も解説

大晦日の夜には「年越しそば」を食べるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、なぜ年越しそばを食べるのか、どのタイミングで年越しそばを食べるべきなのか、意外と正解を知っている方は少ないかもしれません。
そこで今回は、年越しそばを食べる理由や、いつ食べるのが正解なのか、詳しく解説します。
地域ごとの食べ方や、もし年越しそばを食べ忘れた場合にはどうしたらいいのか、そば以外の麺を食べてもいいのかといった気になるポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

年越しそばは、いつ食べるのが正解？

年越しそばを食べる時間を気にする方も珍しくありませんが、実は食べるべきタイミングが厳密に決まっているわけではありません。
基本的には、大晦日のうちに食べ終わっていれば、昼間でも夜でも、いつ食べても問題ないのです。
そのため、夜出かける場合はお昼ご飯に、家族でゆっくり話しながら食べたい場合は夕ご飯に食べるといいでしょう。
年越しを実感するために、除夜の鐘を聞きながら食べる方も多いです。
ただし、後ほど詳しく紹介するとおり、年越しそばには「その年の厄を断ち切る」という意味も込められています。
そのため年越し間際に食べる場合は、厄を新年に持ち越さないよう、年明けまでに食べ切ることが望ましいです。

年越しそばの歴史・由来

年越しそばは、江戸時代から食べられるようになったといわれています。
いくつか説がありますが、最初は大晦日の夜の祝膳の一つとしてそばが食べられていました。
また、大阪の商家が、忙しい月末（晦日）に働いた奉公人を労うために「三十日そば（晦日そば）」を振る舞っていたのが、大晦日にそばを食べるようになった由来という説もあります。

年越しそばを食べる意味とは

江戸時代に始まった年越しそばは、単なる祝膳の一つではなく、さまざまな意味が込められた縁起物です。
ここからは、年越しそばに込められた意味・5つの願いを見ていきましょう。

1.長寿祈願（細く長く生きる）
年越しそばに込められた願いの代表格が、長寿祈願です。
そばの麺のように細く長く生きることを願い、大晦日に家族でそばを食べます。

2.厄を断ち切る（縁起をリセット）
年越しそばには先述したとおり、その年の厄を断ち切る、つまり縁起をリセットする意味も込められています。
そばは他の麺類と比べて切れやすく、その年の災厄や不幸を断ち切ることが連想されるためです。
新年を清々しい気持ちで迎えることに重点を置き、年越しそばを「縁切りそば」と呼ぶこともあります。

3.金運招来（運を呼び込む）
年越しそばには金運アップの願いも込められています。
これは金細工職人が、飛び散った金粉・銀粉を集める際、そば粉をまるめた団子を使っていたためです。
また、金箔を延ばすときにもそば粉が使われることから、そばはお金を集める縁起物ともいわれています。

4.家運繁栄・健康祈願（家庭の繁栄や健康の回復を願う）
細く長いそばの麺は、個人の長寿祈願だけではなく、家運繁栄の象徴ともされています。
また、そばの実は悪天候で萎れても、晴れるとすぐに元気に復活することから、家族の健康を祈願する意味も込められています。

5.運気上昇（新しい年の幸運を呼び込む）
年越しそばは江戸時代に始まったと紹介しましたが、実はさらに古く、鎌倉時代にルーツがあるとする説もあります。
これは博多の承天寺という寺院の、謝国明という貿易商人が振る舞った「そば餅」が、年越しそばの元祖とする考えです。
謝国明は年越しに難儀する町民に、「世直しそば」と称するそば餅を配りました。
このそば餅を食べた町民の運が、翌年から上向いたことにあやかり、大晦日にそばを食べるようになったともいわれています。

これは数ある説の一つですが、ここまで紹介したように、そばはさまざまな良縁と連想されている食べ物といえます。
そのため新年の運気が上昇するよう、さまざまな願いを込めて年越しそばが食べられているのです。

年越しそばの正しい食べ方

縁起物の年越しそばを食べる際は、いくつか気を付けるべきポイントが存在します。
かしこまる必要はありませんが、正しいとされている食べ方も知っておきましょう。

年をまたがず食べきる

年越しそばを食べるタイミングで解説したとおり、その年の災厄を断ち切るためにも、年越しそばは年内に食べ切るのが望ましいとされています。
23時過ぎに食べる方も多いですが、0時を回る前に完食するようにしてみてください。
なお、年越しそばを残すと、新年の良縁が逃げてしまうともいわれています。
縁起物であるため、残さず完食することが非常に重要です。

そばを切らずに食べきる

年越しそばに込められた長寿・健康・家運繁栄などの願いは、そばの麺が「細く長い」ことに由来します。
この意味を大切にするために、年越しそばはなるべく噛み切らず、1本のまま食べることも意識してみてください。
ただし同時に、年越しそばは悪い縁を断ち切るよう、切れやすくもなっています。
そのため食べている最中に麺が切れてしまったからといって、不安に感じる必要はありません。

音を立てて食べても大丈夫

恵方巻きなどは音を立てないよう無言で食べるものとされていますが、年越しそばには、音に関するしきたりは存在しません。
むしろ麺を途中で噛み切らないようにするためには、日頃そばを食べるときと同じく、すすって食べるのが望ましいでしょう。

年越しそばは「そば」じゃないとダメなの？

年越しそばはおよそ6割の方が食べているとされており、そばを食べるのが一般的です。
しかし年越しは「そばじゃないとダメ」というわけではありません。
地域によってはそうめんを食べる文化もあり、「縁起を担ぐ」という点ではおすすめの食べ物です。
そうめんは、細くて長い形をしているため「喜びや幸せが細く長く続く」という願いを託し、結婚式の引き出物に紅白のそうめんが選ばれたり、お盆のお供えものとしても選ばれたりもする縁起のよい食べ物です。
新年に向けて「喜びや幸せが細く長く続く」よう、年越しにそうめんを食べてみるのもおすすめです。

年越しそばを食べ忘れた場合は？

年末は忙しく、つい年越しそばを食べ忘れてしまうことがあるかもしれません。
しかし食べ忘れたからといって、大きな問題はないため安心してください。
そばは縁起物であるため、新年に食べてもいいでしょう。
正月というとお餅のイメージがあるかもしれませんが、そばを食べる地域もあります。
年越しそばを食べ忘れた場合は、年始に質素なそばを食べる風習もありますが、とくに気にせずに好きな具のそばを食べても構いません。

縁起を担ぎたい場合は、年越しそばと同じくさまざまな意味の込められた御節料理と一緒に食べてもいいでしょう。

年越しそばは地域によっても食べ方が異なる

一口に年越しそばといっても、実は地域によって食べ方が異なります。
各地方の代表的な年越しそばを見ていきましょう。

関東地方
関東の年越しそばは、かつおだしに濃い口しょうゆで味付けされています。
具の入っていない「かけそば」が、江戸っ子が食べていたシンプルな年越しそばです。
もちろん、具が入ったそばを年越しそばとしてもまったく問題はありません。

関西地方
関西地方、とくに京都では、かけそばに鰊（にしん）の甘露煮を乗せた「にしんそば」が年越しそばとして人気です。
大阪でも、年越しそばといえば「にしんそば」を思い浮かべる方が多いでしょう。
また、昔から京都とつながりの深い越前（福井県）では、辛味大根を乗せた「越前おろしそば」が年越しそばとして人気です。（そばつゆがない時代は、大根汁でそばを食べるのが一般的だったといわれています）
一方、香川では「年越しうどん」を食べる家庭も多いです。
そばよりも太いうどんを食べることで、太く長く生きることが願われています。

東北地方
岩手県の名物「わんこそば」は、年越しそばとしても食べられています。
元々は殿様をもてなす料理だった縁起物で、普通のそばより量が少なく完食しやすいため、年越しそばには最適です。
また、山形県では、鰊の煮付けが添えられた年越しそばが食べられています。
鰊漬けは保存食の一つで、東北地方では冬の貴重な栄養源とされていました。
また、鰊は御節料理でおなじみの「数の子」の親であり、子孫繁栄の象徴です。
また、読み方が「二親」に通じ、親二人からたくさんの子どもが生まれてほしいという願いも込められています。

北海道
北海道でも、京都や東北地方と同じく「にしんそば」が年越しそばの定番です。
北海道は鰊の産地であるため、縁起物として年末年始によく食べられています。
ただし、京都のにしんそばが薄口出汁であるのに対し、北海道のにしんそばは濃口醤油を使った関東風の味付けです。
また、体の温まるそばとして、「鴨南蛮そば」で年越しをする人も珍しくありません。

九州地方
九州の年越しそばは、甘めの出汁が特徴です。
魚のすり身を揚げた「丸天」をトッピングしたそばなど、海産物をあわせたメニューが一般的です。
一方、沖縄では、年末に沖縄そば（小麦麺）を食べる家庭もあります。
ソーキそばを年越しそばとして食べるなど、独自の食文化が発展していることが特徴です。

美味しく食べるためのアレンジレシピ「ごま油と塩の和えそば」

年末や忙しい日など、時間がないときでも手軽に楽しめるそばのアレンジレシピをご紹介します。
「ごま油と塩の和えそば」は、味付けをシンプルにごま油と塩だけにすることで、そば本来の風味を楽しめるのが特徴です。
みょうがや青ネギ、すだちなどの薬味を加えることで、さっぱりとした爽やかな味わいが引き立ちます。
そばは、茹でたあとに冷水でしめることで、しっかりとしたコシが出て食感も良くなります。
工程も簡単で、茹でて混ぜるだけで短時間に完成するため、忙しいときや暑い季節、食欲がない時でも手軽に美味しく食べられる一品です。

【材料】（1人分）

• 手延そば：100g
• ごま油：小さじ2～3
• 塩：小さじ1.5
• みょうが：1本（千切り）
• 青ネギ：適量
• すだち：適量
• 白ごま：お好みで

【つくり方】

1. みょうがは千切り、青ネギ・すだちは切っておく。
2. たっぷりの沸騰したお湯でそばを約3分茹でて冷水でしめ、水気を切ります。
3. そばにごま油と塩を万遍なく混ぜます。
4. お皿に盛り、薬味と白ごまをトッピングして完成です。

ごま油と塩の和えそばの詳しいレシピはこちらから

年越しには、コシの強い半田めん（半田そうめん）がおすすめ

寒い年越しには、かけそばにして年越しそばを食べる方が多いことでしょう。
年越しにそばやそうめんを食べようと考えている方には、手延製法で作られた温かいメニューにも使いやすい「手延半田めん（半田そうめん）」と「手延そば」がおすすめです。

手延半田めん（半田そうめん）

手延半田めん（半田そうめん）は手延そばと同じく手延製法で作られているため、コシの強さと喉ごしのよさが特徴です。
また一般的なそうめんよりも少し太いため、温かい出汁をかける食べ方でも形が崩れず美味しく食べられます。
お鍋に入れたり炒めたりする調理にも対応できるため、冬場にも活用できます。
そうめんは消化も良いので、夜遅くに食べるのは苦手という方でも比較的食べやすいのも嬉しいポイント。

年越しそうめんを食べる場合、手延半田めん（半田そうめん）を使用するとより美味しく召し上がっていただけます。

手延半田めんの商品の詳細はこちらをご覧ください

手延そば

今年の年越しそばには、いつもとは違う小野製麺の手延べそばはいかがでしょうか。
国産小麦とそば粉を合わせ、撚りをかけて細くしたそばです。
機械だけに頼らず「延ばし」と「熟成」の工程を繰り返して手間をかけて作ることで、コシの強さと喉ごしのよさを実現しています。
大晦日の特別な夜は、そばの風味と旨みを楽しめる田舎風の手延そばをぜひ味わってみてください。

手延そばの商品の詳細はこちらをご覧ください

まとめ

大晦日に食べる年越しそばは、長寿・厄除け・金運・健康・家運など、さまざまな運気向上の願いが込められた縁起物です。
とくに「その年の厄を断ち切る」という意味合いが強いため、新年になる前に食べるようにしましょう。
大晦日なら、お昼でも夜でも、夜中に除夜の鐘を聞きながら食べても問題ありません。ただし縁起物であるため、新年の運気を逃さないためにも、残さず完食するようにしましょう。

また、年越し”そば”だからといって、必ず一般的なそばを食べなければならないわけではありません。
沖縄ではソーキそばが食べられており、香川県では年越しうどんを食べることもあります。
「喜びや幸せが細く長く続く」という願いを託し、縁起物の一つである「そうめん」を食べるのもおすすめです。
毎年そばを食べるのも味気ないと感じているなら、ぜひ今年は年越しそうめんを食べてみてください。